Found photographs ファウンド・フォト
Five years ago whilst holidaying in Daylesford, Victoria, I came across the Amazing Mill Markets, a flea market, hosting hundreds of stallholders, with outlets in Geelong and Ballarat. Amongst old CWA cookbooks, pennants from unknown sporting clubs, snow globes with Eiffel Towers, and rosebud printed tea ware with gold rims, I found a collection of black and white photographs: six plastic bags piled on top of each other, with roughly fifty photographs, of many different sizes, in each of the bags.
They were photographs of Japanese people taken in Japan. Most were taken in the 1950’s and 60s but others were much older, including those of men in military uniforms from WWII, and some portraits from the 1930s or earlier. The same people appeared in different situations, giving the impression they were from one family. Some featured workers from a film studio in Kyoto where director Akira Kurosawa’s famous film Rashomon was shot in the early 1950s. There was writing on the back of some of the prints, along with a few letters and postcards written in Japanese and official documents such as school identification cards and pay slips.
The stall holder told me the photographs came from a deceased estate in Geelong; that was all he knew. What were these photographs doing in Geelong? I bought all six bags, and have held on to them for the last five years.
5年前に休暇を利用し、オーストラリアのビクトリア州にあるデイルスフォードと言う街に 出向いたことがある。途中広大な農地やユーカリ林を抜け、州道をデイルスフォードの市街へと東に折れるあたりにアメージング・ミル・マーケットがあった。 何百もの屋台が一つの屋根の下で古物を売買しているこの巨大フリーマーケット は同じビクトリア州にあるジーロング市や前夜宿泊したバララット市にも店舗がある。冷やかし半分覗いてみることにした。
入り口近くの屋台に古いCountry Woman’s Association (地方女性協会) の料理本や、聞いたこともないスポーツクラブのペナント、エッフェル塔を囲んだスノードーム、バラの蕾のプリントに金縁の茶器などがごった返しに売られていた。くだらないものが多いにしては結構な値札が付いているなどと 思いながら、古い女性雑誌が積み重ねてある棚を漁っていると、ふとビニール袋に詰められた白黒写真が目に付いた。手に取ってみると、その下に同じような袋がいくつも積み重ねてあった。一番上に積んであった袋を開け、中の写真 に目を通すと、そこには 日本人の写真があり、 驚いた。多くは昭和50年代や60年代に に撮影されたものだったが、戦時中、軍服を着た男性の写真や、大正時代にさかのぼる写真館で撮影されたものもあった 。 同じ人達がさまざまな状況で撮影されているものもあり、1つの家族の写真集のような印象を受けた。裏に日本語で 日付や名前が書かれたものや、 家族や学校の集合写真、また、手紙やはがき、 身分証明書や給与明細などの公文書のようなものもいくつかあった。黒澤明監督の『羅生門』が撮影された京都の大映 撮影所で撮影されたものもある。写真は六つのビニール袋に分かれていたが、結局 6袋全部買ってしまった。店の人に聞いてみると、写真はジーロング市の故人の家からのもので、それ以上はわからないと教えてくれた。
写真はなぜ日本を遠く離れたジーロングにあったのだろうか。過去5年間、 これらの写真を保管し続けながら、なんとも申しようのない疑問が湧き続けている。
Mayu Kanamori March 2020
金森マユ 2020年3月投稿
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